志望動機の作り方とは?初心者でも書ける基本から応用まで徹底解説!

志望動機

「志望動機って何を書けばいいの?」「どの企業にも同じようなことしか書けない…」

就職活動を始めたばかりの大学3年生や4年生の中にはそんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

自己PRやガクチカは書けても、志望動機だけはうまく言葉にできない。 何度も書き直しているのに、納得できる文章にならない。

そんな壁にぶつかっている方のために、本記事では「志望動機とは何か」という基本から、説得力のある構成の考え方、業界別の例文まで、初心者でもすぐに実践できるよう丁寧に解説します。

志望動機が書けない理由とよくある悩み

就活を始めたばかりの方にとって、志望動機は最初の大きな壁になります。「何を書けばいいかわからない」「企業ごとにどう変えたらいいの?」と感じている人は少なくありません。

よくある悩みの1つが「やりたいことが明確じゃない」というものです。特定の職種や業界に強い憧れがないと、志望理由を言語化しにくいと感じることがあります。

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「どの企業にも同じことが言えてしまう」と悩む人も多いです。

どの会社にも当てはまりそうな一般論ばかりで、自分自身のエピソードや価値観が反映されていない場合、印象に残りづらい志望動機になってしまいます。

さらに「自己PRと志望動機の違いがわからない」「最初の一文でつまずく」といった構成面の悩みもあります。こうした壁を乗り越えるには自己分析と企業研究を正しく行い、論理的に組み立てていくことが欠かせません。

志望動機を作るための3ステップ

志望動機はいきなり文章を書き始めても納得のいく内容にはなりにくいものです。まずは以下の3つのステップで土台をしっかり固めていきましょう。

STEP1 自己分析で価値観を明確にする

まずは自分が大事にしている考え方や、どんな時にやりがいを感じるのかを整理することから始めましょう。

アルバイト、ゼミ、部活動、ボランティアなどの経験を振り返り「どのような場面で達成感があったか」「人との関わりで何を大切にしていたか」などを考えてみてください。

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出来事をただ並べるのではなく「なぜその経験が心に残っているのか」と、自分の内面に焦点を当てることがポイントです。

すると「自分はこういう考えを持って行動していた」という共通点が見えてきます。このステップで見つけた価値観が、志望動機の軸となることが多いです。

STEP2 業界・企業研究で共通点を見つける

次に、自分の価値観や経験と、企業の方向性や魅力がどこで重なるのかを探していきます。企業の採用ページ、社員インタビュー、IR資料、ニュース記事などを活用し、理念や事業内容、職場の雰囲気などを調べましょう。

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ポイントは「その企業でなければならない理由」を明確にすることです。

競合他社との違いを理解していないと、表面的な志望動機になりがちです。また、自分が惹かれたポイントと企業の特徴を照らし合わせながら「ここでなら自分の価値観が生きる」と思える接点を探していくことが大切です。

STEP3 自分の経験と企業をつなげて言語化する

最後に、自分の経験と企業の特徴をつなぎ、1つの文章に落とし込みます。

このとき「私はこういう経験をしてきた→その経験を通じて〇〇を大切にしている→その〇〇が貴社の〇〇と重なっている→だから志望している」という流れを意識しましょう。

文章にする際には「企業の魅力」→「自分との接点」→「入社後の展望」という順番で構成すると、読み手にも伝わりやすくなります。

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 ただし、経験を盛りすぎて話の輪郭がぼやけないよう注意しましょう。

大切なのは経験を無理にすごく見せようとせず、自分らしい言葉でつなぐことです。そうすることで、説得力のある、共感されやすい志望動機になります。

志望動機が深くなる3つの視点

志望動機をより説得力のあるものにするには自分なりの視点をしっかりと盛り込むことが重要です。 ここでは深みのある志望動機を作るために意識したい3つの観点を紹介します。

企業に興味を持ったきっかけを言語化する

「なぜその企業に惹かれたのか」というきっかけは志望動機の導入部分に自然な流れを与えてくれます。

たとえば、企業のサービスを実際に利用した経験や、説明会・インターンで受けた印象など、自分の体験に基づいた理由があると、共感性が高まります。

ただ「有名だから」「安定しているから」ではなく、自分の言葉でその会社への関心を表現することで、オリジナリティのある志望動機になります。

自分の経験と企業の共通点を明確にする

自分の価値観や行動パターンと、企業の方向性が一致している部分を見つけることで、説得力のある動機につながります。 例えば「チームで何かを成し遂げた経験」と「チームワークを重視する社風」が重なる場合、その接点を丁寧に伝えると良いでしょう。

企業側は「自社の価値観と合う人かどうか」を重視しているため、こうした共通点を明確にすることで、志望理由に納得感を与えることができます。

入社後のビジョンを示す

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どのような姿勢で仕事に取り組みたいか、どんな成長を目指しているかを示すことも大切です。

企業にとっては「入社後の再現性」が気になるポイントなので「こんな目標を持って働きたい」「この分野で専門性を高めたい」といった前向きな姿勢を伝えると、印象が良くなります。

具体的なキャリアプランまで語る必要はありませんが「この企業で学びながら力を発揮したい」という意欲が伝わると、採用担当者の心に残りやすくなります。

志望動機のNG例とよくあるミス

志望動機は自分の想いを伝える大切な場面ですが、気をつけないと伝わりづらくなってしまうことがあります。 ここではよくあるNGパターンを3つ紹介し、それぞれの注意点を解説します。

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 テンプレをそのまま使うと、あなたらしさが伝わりません!

志望動機のNG例とよくあるミス

企業ごとの違いが反映されていない

同じ志望動機をすべての企業に使い回してしまうのもNGです。

志望動機の根幹となる軸は変わらなくても、その企業だからこそ惹かれた点をきちんと盛り込まなければ、熱意は伝わりません。

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企業研究が浅いと、伝わる志望動機は作れません。

たとえば「成長できる環境に魅力を感じました」というだけではどの企業にも当てはまります。 それよりも「貴社の少数精鋭で裁量を持てる環境に惹かれました」といった具体的な理由があれば、納得感のある動機になります。

抽象的すぎてイメージできない

「人の役に立ちたい」「社会に貢献したい」といった言葉は一見前向きに見えますが、具体性がないままでは何をしたいのかが伝わりません。

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抽象的な言葉だけで終わってしまうと、面接官も深掘りしづらく、印象に残りにくくなってしまいます。

志望動機の中には自分の経験や考えを入れ込んで、なぜそう思ったのかを説明することが必要です。 イメージしやすい内容に落とし込むことで、あなたの考えが伝わりやすくなります。

志望動機の例文(業界別に紹介)

ここでは就活生から人気の高い5つの業界について、志望動機の例文を紹介します。

IT業界の志望動機例文

例文
私はゼミでデータ分析を行った経験を通じて、情報を活用することで人々の生活を便利にできることに魅力を感じました。 中でも貴社は医療や教育など社会的なインフラに関わる分野で、クラウドやAIといった技術を活用したサービスを展開している点に惹かれました。 ゼミでは大量のアンケートデータを扱う中で、手作業では見えなかった傾向を数値から導き出し、分析結果をもとに施策を提案するプロセスにやりがいを感じてきました。 この経験を通して得た論理的思考力と課題解決の視点を、貴社のサービス企画やシステム開発に生かしたいと考えております。 ITは変化の激しい業界ですが、その分、新しい技術を学び続ける姿勢が求められると感じています。 だからこそ、現場に近い環境で自ら手を動かし、サービスの成長に貢献する人材を目指してまいります。

商社の志望動機例文

例文
私は学生時代に所属していた国際交流団体で、異なる文化や考え方を持つ人たちとの調整役を担ってきました。 その中で、価値観の異なる相手と信頼関係を築きながら一つの目的を達成することにやりがいを感じてきました。 貴社の海外展開の広さと、現地のニーズを掴んだ提案力に強く惹かれています。 単なる商品のやり取りにとどまらず、現場に根ざしたビジネスをつくっていく姿勢に共感しています。 私は自ら現地に足を運び、相手の本音を引き出すような関係性を築ける営業を目指したいと考えています。 言語や文化の壁を超えて、人と人のつながりを生み出す商社パーソンとして成長してまいります。

コンサル業界の志望動機例文

例文
私はゼミ活動で企業の課題解決をテーマにしたケーススタディに取り組みました。 限られた情報から仮説を立て、データを集め、施策を立案する過程で、複雑な問題にチームで取り組む面白さを感じました。 貴社は特に若手のうちから裁量を持ってプロジェクトに関われる環境であり、多様な業界の変革に携われる点に魅力を感じています。 1つの業界にとらわれず、幅広い課題に向き合うことで、柔軟な視点と提案力を磨けると考えています。 私は物事を俯瞰しながら論点を整理することや、相手の立場を理解しながら意見を伝える力に自信があります。 それらを土台に、貴社で社会や組織の変化を支える提案ができる人材を目指してまいります。

食品メーカーの志望動機例文

例文
私は大学時代、地域の子ども食堂でボランティアを続けてきました。 その中で、食べ物が人を笑顔にし、安心感やつながりを生む力を実感しました。 食に関わる仕事を通して、人々の生活をより豊かにしたいという思いが芽生えました。 中でも貴社は健康や環境に配慮した製品づくりに取り組んでおり「人にやさしい商品を届ける」という姿勢に強く惹かれました。 ただ売るのではなく、背景にある思いを大切にしている点に共感しています。 私は相手の声を丁寧に聞き、現場のニーズを正確にくみ取ることが得意です。 この強みを生かし、消費者の声を製品開発に届ける橋渡しの役割を担えるよう努めてまいります。

アパレル業界の志望動機例文

例文
私はアパレルの販売アルバイトを通じて、ファッションが人の気持ちや自信に大きく影響することを実感しました。 来店されたお客様が「これなら挑戦できそう」と笑顔で帰られる瞬間に、仕事のやりがいを感じてきました。 貴社はトレンドを追うだけでなく、一人ひとりの「こうなりたい」を形にするブランド戦略を打ち出しており、その世界観に共感しています。 お客様と向き合いながら、提案力と共感力を磨ける環境があると感じました。 私は人の気持ちの変化に敏感で、相手の言葉にならないニーズを拾うのが得意です。 販売だけにとどまらず、ブランドの魅力を発信し続ける存在として、貴社の価値を広げていきたいと考えております。

志望動機を企業ごとに書き分けるコツ

就職活動では複数の企業にエントリーすることが一般的ですが、どの企業にも同じ志望動機を使い回すのは避けるべきです。 なぜなら、企業は「なぜうちを選んだのか」を非常に重視しているからです。

以下のコツを踏まえた上で、差別化された志望動機を作成しましょう。

自分の中の「就活の軸」を明確にする

まず大切なのは自分の中にある「就活の軸」を明確にすることです。

たとえば「データをもとに課題解決をしたい」「人と人をつなぐサービスに関わりたい」など、自分の価値観や目指す姿勢を1つのベースとして持っておくことで、企業ごとの調整がしやすくなります。

企業ごとの特徴を丁寧に拾い上げる

同じ業界でも、各社で強みや事業の進め方、求める人物像は異なります。 採用サイトやIR資料、社員インタビューなどを活用して「この会社ならでは」の特徴を見つけましょう。

自分の軸と企業の特徴が重なる部分を言語化する

軸はぶらさずに、企業ごとに伝え方を微調整することで、志望度の高さを自然に伝えることができます。

たとえば、同じ「チームで何かを成し遂げることが好き」という価値観でも「風通しの良さ」を魅力に感じる企業と「成果主義の中で互いに高め合う社風」に惹かれる企業とでは表現の仕方が変わります。

大切なのは自分の志望動機を企業に合わせて嘘なく調整することです。

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同じ軸を持ちつつも、企業ごとに表現を調整することが大切です。

志望動機は選考にどう影響する?

志望動機はエントリーシートや面接の中でも、合否を左右する重要な要素です。 しかし、なぜ企業はそこまで志望動機を重視するのでしょうか。

それは志望動機に「その人の本気度」と「企業との相性」が表れるからです。 まずエントリーシートでは志望動機がしっかり書かれているかどうかで、書類選考の通過率が大きく変わってきます。

特に人気企業では一人ひとりの書類をじっくり読む時間が限られているため、読み手の目を引く志望動機があるかどうかが評価の分かれ目になります。

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 可能な限り「オリジナルで」「差別化された」志望動機を作成しましょう

また、面接では「この学生はなぜうちを選んだのか?」という問いに対して、納得感のある説明ができるかが問われます。

一次面接では主に熱意や考えの一貫性が見られますが、最終面接になると「一緒に働く姿が想像できるか」「長く働いてくれそうか」といった観点から、志望動機の内容がより深くチェックされます。

さらに、志望動機がしっかりしていれば、自己PRや学生時代のエピソードともつながり、一貫性のある受け答えがしやすくなります。

結果として「この人は信頼できる」と感じてもらいやすくなります。 このように、志望動機は選考の各段階でその人の印象に直結する、大切な判断材料のひとつなのです。

志望動機をレベルアップさせたい人へのアドバイス

基本的な構成は理解できても、「志望動機に深みがない」「他の学生と似ている」と感じている方は多いかもしれません。
そんな時は、より個別性が伝わる工夫を取り入れることで、説得力と魅力が一段と増します。

ここでは、クオリティの高い志望動機を作るための実践的な工夫について紹介します。

OB・OG訪問で企業理解を深める

OB・OG訪問は、企業のウェブサイトや求人票では得られない情報に触れられる貴重な機会です。
実際に働いている人から、仕事のやりがいや現場の雰囲気、苦労している点を聞くことで、企業に対する視野が広がります。

そのうえで「何に魅力を感じたのか」「どのような点で共感したのか」を整理し、自分なりの志望理由に落とし込むと、表面的な情報にとどまらない深い志望動機が完成します。

実体験にもとづいた言葉は面接官の印象にも残りやすく、自分自身の納得感にもつながります。

内定者や選考通過者のESを参考にする

志望動機の表現に悩んだときは、内定者や選考通過者のエントリーシートを見ることも有効です。

「どのような観点で企業との接点を描いているのか」「経験やエピソードをどうつなげているのか」を分析することで、自分に足りない視点に気づけることがあります。

ただし、他人の文章をそのまま真似るのは逆効果です。

あくまで「構成」や「言い回し」の工夫を学び、自分自身の経験や考えに照らして表現することで、オリジナリティのある志望動機に仕上げることができます。

他己分析で新たな視点を得る

自己分析だけでは見えてこない自分の魅力や特徴を発見するには、他己分析が有効です。
友人や家族、キャリアセンターの担当者に、自分の強みや印象に残っている行動について尋ねてみましょう。

「いつ、どんな場面で輝いていたか」「なぜそれが印象的だったか」といった具体的な話を聞くことで、自分では意識していなかった強みや価値観が浮かび上がります。
それを志望動機に反映することで、より説得力があり、企業との接点を感じさせる内容に発展させることができます。

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経験を盛り込みすぎると要点がぼやけてしまうため、伝えたい核となる部分を明確にしておくことが大切です。

まとめ:志望動機は「作る力」より「見つける力」

ここまで志望動機の基本から応用までを紹介してきましたが、一番伝えたいのは「志望動機は無理に作り出すものではない」ということです。 大切なのは自分の中にすでにある価値観や経験を掘り起こし、それと企業の特徴をつなぐことです。

「うまく書けない」と感じている人の多くは材料は持っていても、それに気づいていないだけです。 だからこそ、自分自身を深く見つめ、企業について丁寧に調べることで、自然と志望理由が見えてくるようになります。

就職活動は誰かと競うためのものではなく、自分の人生をどう歩むかを考えるプロセスです。 志望動機も「正解」を探すのではなく、自分にとって納得できる「理由」を見つけることがゴールです。

「どこで働くか」ではなく「どう働きたいか」を軸にすることで、言葉に重みが生まれます。

志望動機に悩む時間こそが、これからのキャリアを支える土台になります。 焦らず丁寧に、自分自身の言葉で語れる志望動機を見つけていきましょう。